「足の後進国」からの脱却 〜2学会を統合し「日本フットケア・足病医学会」 が発足しました〜

6月28日・29日に開催された第11回日本下肢救済・足病学会 学術集会(https://convention.jtbcom.co.jp/11jlspm/)に診療もあったため、29日だけでしたが、参加してきました。第1回から参加しており、この学会の評議員も務めています。足に関する学会は、日本フットケア学会もあり、この学会も評議員を務めていますが、この2月に第17回目の学術集会が開催されました。この二つの学会がいよいよ合併することとなり、7月1日からは「日本フットケア・足病医学会」と言う名称で設立され、組織も大きくなり新しくスタートしました。学術集会終了後には記者会見が開かれ、後述のように取り上げられています。

「100歳まで笑顔で歩ける足」を目指す新しい学術団体が7月1日に誕生した。「日本フットケア・足病医学会」という名称で、旧来の日本フットケア学会(会員数:3893人)と日本下肢救済・足病学会(会員数:1937人)を統合して設立された。

新理事長に就任した小林修三氏(湘南鎌倉総合病院院長代行・腎臓病総合医療センター長)は「学会は医療人のためではなく、患者のためになくてはならない。For the patients として、フットケアから重症虚血肢への進展防止、装具・義足などリハビリテーションまで終始一貫した『足病』の診療体制の確立に向け、我が国の医療者全員によるオールジャパン体制で取り組む決意を示したもの」と学会新設の意義を説明する。

巻き爪や魚の目、下肢静脈瘤、糖尿病性潰瘍、重症虚血肢など、下腿から足先にかけて発症する「足病」は、小児から若年女性、壮年男性、高齢者まで幅広い年齢層で発症しQOL(生活の質)を大きく阻害し、時に死に至らしめる。関係学会の調査によれば、我が国の60歳以上の約700万人が足病変を有しており、間欠性跛行(しばらく歩くと足に痛みやしびれを生じ、少し休むとまた歩けるようになる症状)や下肢潰瘍の原因となる末梢動脈疾患(PAD)の有病者数は約320万人、人工透析患者を中心に重症下肢虚血(CLI)約18万人、うち下肢切断に至るのが1万人以上といわれている。

中でも患者数が多い糖尿病性潰瘍患者は、潰瘍発症後7~20%が下肢切断となり、切断後はQOLが大きく低下するだけでなく死亡率も高い。糖尿病性潰瘍患者の下肢切断後の5年生存率は約30%と、一部のがんよりも悪い数字だ。現在の糖尿病患者の高い有病率を考えると今後、糖尿病性潰瘍や下肢切断に至る人はますます増えることが予想される。

<日本でも足病医の養成を>

足病はそのような重要な疾患・病態であることから、米国をはじめ他の先進国では、下腿から足先までの病変を専門とする足病医(podiatrist)が存在し、予防的ケアや専門の治療を行っている。一方、我が国は足病医を養成・資格認定する制度がなく専門診療科もないため、患者は皮膚科や循環器科、形成外科など足病専門医が必ずしもいない診療科を受診しているのが実情だ。

糖尿病性潰瘍や下肢切断の原因は生活習慣病に起因する血流障害であるため、足病変を早期に発見し、生活改善指導や血糖コントロール治療を行えば、重症化を防ぐことができる。また最近では、カテーテルを使った血管内治療や血管バイパス手術、血管幹細胞による再生医療も行われており、そうした専門施設で治療を受ければ重症例でも下肢切断を回避できる可能性がある。

「Podiatristが存在しないという『足の後進国』において、歩ける足を目指した『100歳まで笑顔で生きることのできる』体制作り、Podiatrist養成への取り組みなど学会活動を通じて、一般の方によりいっそう足に関心をもっていただき、1本でも多くの足を救いたい」と小林氏は話している。

https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00004/070200039/?P=2) 日経Beyond Healthレポート2019.7.3)から引用

小林修三新理事長を支えて、関係者全てが力を合わせて「足の後進国」からの脱却を目指したいと思います。『100歳まで笑顔で生きることのできる』ように居られるためにも、今回の学術集会のテーマでもあった「歩行を守り、生活を護る」、そして「生涯歩行」できるような「すすめ」を、クリニックでの診療においても「治療」に「予防そして啓発」で実践していきたいと思います。

また、保険診療制度の問題なども山積です。学会がより大きくなったことで、「ガイドライン」の制定、「サーベイランス(動向について専門機関が調査・監視を行うこと)」、医療職以外との多職種連携、地域連携、介護連携などなどの事もしっかり進めていければと願います。

それらを実行していくためにも「医療法人たけうち 六本松 足と心臓血管クリニック」が担うお役目も大きと感じています。