インソール外来が増枠になりました!!
毎週 火曜日の午後、水曜日の午前中
第1・第3 金曜日 に
枠を設けていますインソール外来ですが、9月から予約枠を増枠します。
これまでは、お勤めや学生さんで土曜日にしか受診できずにインソール外来をご予約できなかった患者さんには朗報です。
上記に加えて、第一土曜日 も受診可能になりましたので、ご案内いたします。
お困りの患者さんはご予約ください。その他の土曜日にはインソール調整などは対応不能ですのでご了承願います。
「足を守ってくれる」のが靴ですが、「足を痛めつける」のもまた靴なのです。 健康な方だけにとどまらず、特に「糖尿病の患者さん」にも重要なことです。糖尿病患者さんの下肢切断の初発原因の第一位は「原因不明(いつ何が原因で起こったかわからない)」もしくは「靴擦れ」が原因とも言われています。
「靴の選び方が悪い」、「靴の履き方が悪い」患者さんの「足のトラブルが多い」のは事実です。
当院では「フットウェア外来」でのオーダーインソール処方(足の変形の程度によっては健康保険の適応あり)をベテランの義肢装具士と一緒に行っています。
「巻き爪」、「たこ」、「うおの目」、「外反母趾」、「内反小趾」、「扁平足」、「甲高」、「左右の脚の長さの違い:脚長差」などの治療も積極的に行っています。その際には必ず靴や靴の履き方をチェックして、医師、義肢装具士、看護師が「靴の選び方」や「靴の履き方」の指導をします。
日頃の診察では「患者さんの職業」もお聞きしています。それは、仕事をされている方にとって、1日、1週間、1ヶ月の中で「仕事中に履いている靴が一番、長時間履いている靴」だからです。インソール処方の際も「職場で履く靴」に合わせてインソールを処方することが多いです。なるべく長く履いている靴に処方したインソールを入れるのが一番、負担の軽減になるからです。処方されたお薬を飲んでいなければ病気が良くならないように、インソールを処方しても履いていただけないのなら負担の軽減にならないのです。
少なくとも仕事で履く靴は、「ご自身の足に合った靴」、「全身の健康を損なわない靴」、「足を労ってあげられる靴」を選んで欲しいと願います。それによって「全身の健康や仕事の効率にも影響」してくることを知って頂きたい。
「靴の履き方が悪くて巻き爪になる人が多い」、「全身の健康や仕事の効率にも影響」、「足の痛みを放置しておくと→膝、腰、肩などにも影響が出ることがある」、「普通の靴でも起こるため男性や子供も注意が必要である」などのコメントも取り上げて頂いた事もありますよ。
義肢装具士との良好な連携と取れているクリニックは全国的にも少ないでしょう。
過去に論文化した文章を転載します。お時間がある方は下記も参考にご覧ください。
義肢装具士との連携
糖尿病、透析、末梢動脈疾患を有するような足病変のハイリスク患者においては、靴は間違った履き方をすると凶器にもなりうるため、時間の許す限り、靴の履き方、靴紐の締め方などの指導を行っている。義肢装具士だけからではなく、医師の言葉としても指導を実践するように心がけている。
スニーカーのかかとを踏んで潰し、サンダルのように履いている患者に、靴ひもをしっかり毎回必ず結ぶように指導したところ、膝痛、腰痛が改善したり、足底の胼胝が消失したりすることは良く経験することである。ADLの高い独歩可能な高齢者が介護靴を履いているのを良く見かける。
介護靴は介護する者が履かせ易いように作製されているだけであり、靴の機能が損なわれているタイプの靴が多い。そういった靴は固定性も悪く、靴底も柔らか過ぎて、高齢者の下肢に多くの負担をかけている。
靴を選ぶポイントを指導する際には、踵がしっかりとしていて、紐やマジックテープで足の甲をしっかり固定できるタイプの靴を勧めていただきたい。屋内履きも外履きと同様に重要であり、フローリングの上を裸足で歩くことがないように指導を行っている。リハビリ関係の方であれば、さらには歩行の指導まで行えてしまうのではないだろうか。是非、これらの指導を実践していただきたい。
患者に適切かつ継続して履いていただける靴やインソールを提供できるようにするには、医師、看護師、義肢装具士それぞれが患者の生活環境を把握し、理解していることも大変重要である。
インソールは処方するだけでなく、アフターフォローもとても重要である。完成後の初回の外来受診は当院では約1ヶ月後に設定していることが多いが、装具との適合を診るだけではなく、適切に使用できているかを見る必要な機会でもあると考えている。
足病変ハイリスク患者においては、採型してオーダー作製したインソールであっても、病状によっては創傷形成のきっかけにもなりうるということを常に認識しておく必要がある。
とは言っても、義肢装具士とすぐに良好な連携が図れるようになるのは簡単なことではない。まずはそのような外来を行っている近隣の医療機関と連携を図れるようになっておくことも良い。リハビリ関係であれば、他の診療科よりは義肢装具士との接点も多いとは思うが、その義肢装具士がインソール、靴型装具に長けているとは限らないので相談しながら症例を積み重ねていかねばならない。
靴店やフットケアセラピストとの連携
近年、市民には健康志向が高まってきたとはいえ、病院が好きという方は少なく、足に問題が発生しても病院には行かずに、まず靴屋さんやフットケアセラピストに相談するといった事例もあるだろう。そのような中には、医学的に切断ハイリスクで感染や血流不全が潜んでいる方が含まれていることもある。
これらのことからも、靴店さんやフットケアセラピスト、さらには介護関係者の方々は足病予防医療の最前線だと言える。いろいろな足の病気があることを学び、血流障害の存在や感染の有無などを今まで以上に理解することが、救肢につながるのではと考える。
「これはちょっと重症かもしれない」と思ったお客さんをいち早く発見し、病院にダイレクトに紹介してもらうことで、少しでも多くの患者が手遅れになる前に治療を受けられるようになるだろう。
足病の予防や治療においては、医師・看護師などの医療関係者だけではだめ、靴店だけでも、義肢装具士だけでもだめである。まだまだ、整備していかねばならないことは多いが、足に関わる仕事をしている多職種の方々が、我々医療スタッフと一緒に協力していくことが理想であり、患者、そしてお客さんの利益、健康につながるものと信じている。
リハビリ関係者においても、患者さんの靴の対応に困ることがあるのではないか。遠方ではなく、貴施設の近隣に足をしっかり計測してもらえる頼れる靴屋さんが見つかれば、両者にとって更に安心であろう。
フットケアセラピストについても、サロンでいち早くトラブルに気づき、医療的な介入が必要だと思われた時にダイレクトに医療機関へ紹介できれば、サロンに信頼度も上がるだろうし、お客さんにも喜んでもらえる。
医療機関は重症を多く扱うために、予防やケアにだけ時間を費やす訳にはいかないのが現状である。特に定期ケアが必要だと判断した患者さんがケアの必要性を理解し、サロンで定期ケアを受けるようになれば、トラブルの発症も少なくなり、重症化も予防できるのではないか。
<参考文献>
竹内一馬、他「義肢装具士と連携するフットケア・足病診療」Podiatric Medical Care: good Relation with Prosthetist and Orthotist. POアカデミージャーナル 23(4), 226-230, 2015
竹内一馬:足病変に対する連携の重要性について. MEDICAL REHABILITATION.2017: 211; 77-81
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