2月10日は「フットケアの日」 足のトラブルは早期発見・早期治療が重要です
竹内が入会している日本フットケア・足病医学会(旧日本フットケア学会と旧日本下肢救済・足病学会が合併した新しい学会:https://jfcpm.org)では、2月10日を「フットケアの日」と制定して啓発活動を行なっています。竹内はこの学会の評議員で広報委員も担当しています。
今回はこの「フットケアの日」にKBC九州朝日放送「シリタカ」に当クリニックを取り上げていただきました。https://kbc.co.jp/shiritaka/
糖尿病や下肢の血流障害である閉塞性動脈硬化症による足病変の予防、さらには早期診断・早期治療の啓発が目的です。
日本では、糖尿病患者の急増あるいは高齢化の進展で、糖尿病や閉塞性動脈硬化症による足病変が増加しています。
推計では、60歳以上の約700万人以上が足病変を発症するとみられ、重症化し足切断にいたる人は、年間1万人にのぼると推定されています。
しかし、糖尿病の合併症が原因で起こる足病変をはじめ、下肢の血流障害である閉塞性動脈硬化症による足病変は、症状が現れた初期には気づかれにくく、また異変に気づいたとしてもどこの病院へ行ったらよいのか分からず、早期診断・早期治療が遅れ結局、足の切断をしなければならない人が後を絶たないのが現状です。
日本は世界的に見ても少子高齢化社会が進んでいると言われています。日本人の平均寿命は50年前の1964年が男性67.7歳、女性72.9歳であったのに比較して、2015年では男性80.79歳、女性87.05歳となっています。
女性は世界第一位から陥落したものの、依然として男性では世界で第四位、女性は世界第二位の長寿命を誇る結果です。平均寿命が伸び、高齢化社会となったことの影響だけではなく、糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満症などの生活習慣病が増加したことも一因となり、下肢に何らかのトラブルを抱えている人が増えています。
一言で下肢に起こるトラブルとは言っても、さまざまな多くの疾患があります。糖尿病足病変、下肢末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)、だけに限ったことではありません。 整形外科的な疾患では、慢性関節リウマチの足病変以外にも外反母趾、内反小趾、開張足、凹足、足底腱膜炎などの疾患があげられます。
皮膚科的な疾患では、胼胝・鶏眼、ウイルス性疣贅(ゆうぜい:いわゆるイボ)、足白癬、爪病変(巻き爪、陥入爪、肥厚爪、爪白癬、爪甲剝離など)、膠原病による皮膚症状、抗がん剤の副作用による足趾病変、蜂窩織炎、悪性度の高いものでは悪性黒色腫などがあげられます。
高齢者では脳卒中などの後遺症からの下肢廃用症候群による浮腫、静脈性疾患(下肢静脈瘤、うっ滞性皮膚炎、深部静脈血栓症)、心疾患(虚血性心疾患、心臓弁膜症による心不全など)、腎疾患(糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、腎硬化症など)、低栄養による浮腫なども多く診る足病変です。
また、下肢の冷え性を主訴とした受診もとても多く、足病変と一言で言っても多くの診療科の領域が関係しており、かつ多岐に渡っているのが理解していただけるでしょう。
当クリニックでは、このような足にトラブルを抱えている患者はすべて診療の対象としています。
日々の診療は重要ですが、啓発も同等に重要と位置づけています。「継続は力なり」、そんな諺がありますが、本当に啓発は継続が一番重要です。啓発活動は一夜にして成らず、結果はすぐには見込めません。
まだまだ、市民に認知されてない領域である故に、重症化してから受診する事例が後を絶たないのが現状です。
国民が足に関心を持ち、セルフケア、家族へのケアができれば、重症化をゼロにはできなくても、減らすことには繫がると信じています。
そして、さらには早期に発見し、早期から治療介入できれば治療期間も短縮することができ、医療経済的にも好ましいでしょう。そのためにも啓発活動は重要なことであり、真面目に取り組んでいく必要があるのです。
それにしても2月10日の午前中に診療の取材があり、夕方には放送・・・編集も大変ですね。笑 何度出てもテレビ収録は慣れませんね。汗 テレビ映りが悪いのは、元が良くないので仕方ありません・・・ しかし、「足と心臓血管」の重要性を取り上げていただけるのは、ほんと有難いですし、少しでも困っている患者さんに有益な情報が届けばと思います。
「2月10日 フットケアの日」の啓発を通じて「ご自身の足・脚」そして「家族、大切な人の足・脚」を考えるきっかけになることを願っています。
(引用)竹内一馬:足病変に対する連携の重要性について. Monthly Book Medical Rehabilitation. 2017: 211; 77-81.(から一部改変)
2019.2.6 当クリニックのブログからも引用