第16回日本整形靴技術協会学術大会「生涯歩行のすすめ」を開催して
あっという間に2月ですね。この度、主催した第16回日本整形靴技術協会学術大会(IVO 2020)を無事に開催することができました。関係者の方々、どうもご支援、ご協力ありがとうございました。また、市民公開講座http://ivo2020.com/download.htmlにも多数ご参加いただきありがとうございました。
今回の学会の詳細なプログラムは学会公式ホームページにも記載していますのでご覧ください。http://ivo2020.com
日本整形靴技術協会学術大会は、全国から「靴・足など」のプロフェッショナルが集まる靴関係者の全国学会です。今年は160名ほどの参加がありプログラムの評判も大変良かったと多くのお褒めのお言葉をいただくことが出来ました。
今回は「フットケア」にも焦点を当てたことも有り「足や靴、フットケア、装具のことを学んでみたい」という看護師、義肢装具士、介護福祉関係者にも多数ご参加いただくことができました。
過去にも学会主催の経験はありますが、病院勤務や大学勤務ではなく、一開業医がこのような全国規模の学会を主宰するのはとても大変なことでした。学会運営メンバーは主に私が代表を務める「NPO法人足もと健康サポートねっとhttp://ashimotokenko.com」のメンバーを中心に準備を進めて来ました。
実行委員長は当クリニックにも週2-3回、装具の外来に来てもらっている有園義肢株式会社 代表取締役社長 有薗泰弘氏に務めて頂きました。当院スタッフのみならず、運営メンバーが居てくれたからこそ主宰することができたのだと感謝しています。
昨年出版した「生涯歩行のすすめ」に被せて学会のテーマを「生涯歩行のすすめ」としました。
大会長企画には、あのご高名な「徳武産業 十河孝男 代表取締役会長」に「感動のオンリーワン企業を目指して」をご講演いただきました。 年末にはNHK 逆転人生にもご出演され、企業人の方もご存知なのではないでしょうか? https://www.tokutake.co.jp/topics/detail.php?id=41
学会参加者の皆さんや理事長からは、「この大会で役に立ったとか、技術的に学べたとは今までよく聞いたが、“感動した”の声をたくさん聞いたのは初めてです」との声もありました。
また、聴講者からは涙も見られ感動したお話をいただくことができ、依頼して座長をさせていただけたことも貴重な機会となりました。
また、懇親会にもご参加いただき、参加者とも気軽に接していただきました。本当にありがとうございました。
特別講演は、「女性木型師」である「五十石紀子さん」にご講演いただきました。 IVO非会員で参加される方からは「木型師」という仕事を初めて知ったとの声も聞こえました。
五十石さんには、前日セミナーでも講師を務めていただき、「木型師」、そして「ハイヒール」の超マニアックな世界をお話いただきました。これもまた当学会員にとって新鮮だったようです。 http://ivo2020.com/program.html
教育講演1では、「靴型装具に特化した義肢装具製作所の運営から見えてきた現状と課題」について、日本で唯一の義肢装具士でありながら「ドイツ整形外科靴マイスター」資格を持つ中井要介氏(マイスター靴工房KAJIYA代表)に靴を学ぶこれからの若手に対しても刺激となる内容をお話いただきました。
教育講演2では、フットケア・下肢救済足病学会(現 日本フットケア・足病医学会)においては、「九州の宝」である理学療法士の大塚未来子氏(大分岡病院 総合リハビリテーションセンター)に「足圧計測より診る足と歩行」について大分岡病院創傷ケアセンターでの実際の臨床を交えた取り組みをわかりやすい理学療法士の視点でお話いただきました。
シンポジウム1 「生涯歩行のすすめ」学会のテーマにもなっている生涯歩行について、社会コミュニティ、下肢血流、靴教育、ロコモティブシンドロームの各視点から4名の演者にお話いただきました。演者の先生の熱弁もあり、ディスカッションの時間が確保できなかったのが残念でしたが、「生涯歩行獲得のためのヒント」が得られたように思いますし、これからの日本整形靴技術協会の使命が鮮明になったように感じました。
シンポジウム2 「人生100年時代の歩行を妨げる足病とその対策」では、糖尿病とフットケア、浮腫と看護、高齢者の足の変形について3名の演者にお話いただきました。
特に「浮腫の看護と歩行」では、渡辺直子氏の講演で「浮腫でも履ける靴」をどうにかして欲しいという切実な声が学会員に届いたのではないでしょうか。
どちらのシンポジウムも超高齢化社会の中における「歩行や足のトラブルに対する治療、予防」の問題が議論され充実したシンポジウムとなりました。
一般演題、ポスター発表も多く発表していただき、特にポスターは多くの聴衆で囲まれた発表となりました。一般演題では、堂々とした学生の発表もあり「未来の足と靴」を担う頼もしい一面も見ることができ、将来が楽しみになりました。今回の発表をさらに掘り下げた研究をして欲しいと願います。
別枠企画として特別企画2では、介護従事者が参加できる「介護と靴を考える」ワークショップも立ち見が出るほどの盛況ぶりで、介護関係者にも「靴の重要性」を知っていただく良い機会となりました。http://ivo2020.com/program.html
特別企画1では、福岡マラソン公認企画「福岡マラソンを足トラブルなく走ろう!!」http://ivo2020.com/program.htmlを開催、こちらも福岡マラソン公式FBや LINEでも配信していただき、福岡マラソンを大幅に超える「当選倍率」となり、狭き門をくぐることの出来た方にご参加いただきました。会場のキャパも限られていたこともあり、多くはご参加いただけませんでしたが、反響がかなり大きく、こちらは今年の福岡マラソン前に同様の企画でまた開催できればと思っています。
福岡マラソン実行委委員会の方々のご協力に感謝ですし、今年の福岡マラソンも医療の面から支えていきたいと思います。
学会懇親会はあいにくの雨にも関わらず、多くご参加していただき全国からお集まりの皆さんの良い交流の場となったようです。特に余興では、福岡市内を拠点に活躍しているMirey je brille (ミレイジェブリリエ)というダンススクールの皆さんにベリーダンスをご披露いただきました。学会員は「おじさん」も多く、写真に残せないほど「鼻の下が伸びた」会員も多く見られました。(大会長の写真もありません:笑)。
ベリーダンスの前には、弦楽四重奏団に上品なクラシック音楽を奏でていただいただけでなく、サプライズで竹内自ら3曲ほどフルート演奏を披露し、食事を美味しくなくさせてしまった場面もあったのではと危惧しています(誰も聞いておらず、歓談に夢中だったようにも思いますが)。
何はともあれ、このような記憶に残る学会を主催できたことは、大変光栄な機会を与えていただいたと思っています。
関係者の皆様、遠方から近郊からご参加いただきました皆様、広告、ブース協賛していただきました企業様、ご講演いただいた先生方、事務運営スタッフ、介護関係者の皆様、福岡マラソン実行委員会の皆様、懇親会を盛り上げていただいたセクシーなお姉様方、素敵な弦楽四重奏のメンバー、家族、
そして学会実行委員(NPO法人 足もと健康サポートねっとhttp://ashimotokenko.com)のメンバー、多くの愛情で支えていただきありがとうございました。
医療関係ではない学会を主催するに当たり、参加者の見通しが立たない、消費税増税などの不景気などにも苦しみました。運営に当たり不行き届きも多々あったかと思いますが、どうぞお許しください。
関係者の皆様の笑顔、お声かけでスタッフ一同も頑張った甲斐があったと思います。 これを生かして臨床に足・靴関係者の現場に役立てていただけたらと願います。
個人的には一開業医で出来ることは限られていますが、超高齢化の中「生涯歩行」出来るような診療報酬を含めた医療システムの構築も課題だと感じています。
日本フットケア足病医学会、靴医学会、循環器学会などなどとも連携し、微力ながら「足と心臓血管」を支える臨床現場で頑張りたいと思います。
六本松 足と心臓血管クリニック
竹内 一馬 http://ashitoshinzo.com