第7回日本フットケア足病医学会九州沖縄地方会のご報告
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年に1回開催される日本フットケア足病医学会の九州沖縄地方会、今年は熊本での開催であり、看護スタッフ3名、事務スタッフ1名も一緒に勉強してきました。
吉田看護師は、シンポジウム1「フットウエア 地域でのフットウェアの理解と普及を考える」の座長を担当、西村看護師は、シンポジウム2「日本静脈学会・日本フットケア・足病医学会 合同シンポジウム」で「下肢静脈うっ滞性潰瘍の治療とケア」を講演しました。
スタッフが座長やシンポジウムの講演を担当するなどと診療のみならず、学術的にも活躍してくれるのは大変嬉しいものです。 これが当クリニックの「診療の質」の源であり、これからも「良質の医療」が提供できるように竹内はもちろんのこと、日々、研鑽を積みたいと思います。
下肢静脈うっ滞性潰瘍の治療とケア
<抄録>
静脈性下肢潰瘍は、慢性静脈不全症の最重症型であり、難治で再発が多く社会的・経済的な負担が大きいことで知られている。2020年4月からは慢性静脈不全症による静脈性下肢潰瘍に対する静脈圧迫処置が保険適応となり、圧迫装具も療養費として保険から補助がでるようになった。
当院は足と心臓血管クリニックとして、今年9月で開業7周年を迎えた。その中で下肢潰瘍・下腿難治性皮膚潰瘍・静脈機能不全の患者は、延べ124名、2020年から保険適応になった静脈圧迫療法(慢性静脈不全)51名と全体延べ患者から比べると決して多くはないが、増えてきていると思われる。
私は、前職の外来で、看護した患者(リンパ浮腫・蜂窩織炎・高齢)の治療に罹った196日(約10ヶ月)という期間の経験をもとに、いかに早く治癒に向かわせることができないかと考えた。
当院でも開院後2年はなかなか治癒できず患者の苦痛や訴えを聴取してきたが、保険制度の見直しや、療養費補助により患者の経済的・精神的な負担を抑えた治療ができることを感じることができたので、ここに発表させて頂く。その中で、新たにみえてきた問題点やその解決の為の工夫した点を検討していきたい。
静脈うっ滞性潰瘍は下腿の難治性潰瘍の原因の中でも多く、治療に難渋する。
皮膚科や一般外科に何年もかかっていても治らない。悪化するという相談症例が多いです。幸い、比較的近隣の皮膚科や外科からは当院に早期に紹介していただけることも増えてはいますが、どうしてここまで放置していたのか!と言う症例もあとを絶ちません。
結語として、
1)安静、創傷治療、浸出液のコントロール、原因病変の改善、栄養状態の改善、圧迫療法の徹底(弾性包帯の巻き方、ベルクロ式圧迫装具の装着指導)アドヒアランスの向上など、目的を明確にして短期間で在宅での自己管理に繋げられるのではないかと思われる。
2) 難治性潰瘍の原因のもう一つとして、今回の症例で多かったのは、殆どの患者で肥満であった 体重コントロールは短期では、なかなか難しい 治療との併用も難しい為、生活習慣病の予防として、早期から啓発活動が必要だと感じられる 肥満はさまざまな障害を起こす事を再度周知していく必要があると感じられた。今後の課題である。
3)静脈うっ滞性潰瘍の治療とケアの中でのケアは、看護師の成果が感じられる症例ではないかと思われる 完治と予防、患者中心の医療を目指していきたい。
圧迫包帯が着用できない高齢者には、今回、当院で取り入れているベルクロ式圧迫装具は大変有用であるにも関わらず、導入していた施設はわずかであった。当院にて実績、症例を積み重ね、他の専門機関にも取り入れてもらえるようになることで全国の静脈うっ滞性潰瘍の患者さんに恩恵が届けばと願います。
引き続き、当院は足と心臓血管の専門クリニックとして、良い治療を早期から取り入れ、学会発表、論文、執筆、地域活動なども積極的に行うクリニックとして、精進していきたいと思います。
竹内はシンポジウム2「日本静脈学会・日本フットケア・足病医学会 合同シンポジウム」をコーディネートしましたが、講演2では、熊本市内にて熊本血管外科クリニックを開業されている宇藤純一先生に「下肢城脈瘤 最新治療」についてご講演していただきました。
静脈瘤についてのみならず、深部静脈血栓症(いわゆるエコノミー症候群)、下腿の宇藤先生は下肢静脈瘤の治療において多くの下肢静脈瘤手術のご経験のある先生であり、竹内が尊敬する医師の一人です。今回はこのような場で宇藤純一先生とご一緒する事ができたのは、今回の九州沖縄地方会の中でも良い思い出になったと思います。どうもありがとうございました。
また、翌日は大変でしたが、フットケア指導士資格の更新のための必須研修セミナーもあり、お手伝いさせていただきました。学会総会の学術研修委員であり、地方会において研修委員長を務めているお仕事でした。
約40人ものフットケア指導士の方々がさらにパワーアップされたことを嬉しく思います。当院にもフットケア指導士資格を有する看護師も在籍しています。
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