福岡CLTI(包括的高度慢性下肢虚血)セミナーにてパネリストを務めました

7月27日、福岡CLTI(包括的高度慢性下肢虚血)セミナー(web開催)にパネリストとして参加させていただきました。

日頃から多く連携している福岡山王病院を始めとして、池田バスキュラーアクセス・透析・内科クリニック、原三信病院、九州中央病院、和白病院の先生方と久しぶりにwebではありましたが、お会いでき活発な議論をすることが出来ました。

 

聴講者は、内容から循環器・透析・形成外科・血管外科関連の医師に多かったようでした。

特別講演は大分岡病院 形成外科・創傷ケアセンターの松本健吾先生が下肢救済治療における新しい透析デバイスであるレオカーナ(透析の膜:フィルター機器のようなもの)の治験データを含めた創傷治療経験のお話しでした。びっくりするような創傷改善の数例をご発表いただき大変勉強になりました。松本先生(釣り好き)は学会などでよく一緒になる同志のドクターですが、いろんな分野で頑張られておりいつも刺激を受けています。

 

CLTIとは、下肢虚血、組織欠損、神経障害、感染などの肢切断リスクを持ち、治療介入が必要な下肢の総称として、CLTI (chronic limbthreatening ischemia)の概念が提唱された。 CLTIを「包括的高度慢性下肢虚血」と訳す。

 

【現在使われているCLI(Critical limb ischemia)という用語は「重症下肢虚血」あるいは「重症虚血肢」と訳され、救肢のためには早急に血行再建が必要と判断される差し迫った病状を示すものである。

 

今回新たに下肢虚血、組織欠損、神経障害、感染などの肢切断リスクを持ち、治療介入が必要な下肢の総称として、CLTI (chronic limbthreatening ischemia)の概念が提唱された。

 

CLTIは、WIfI分類(治療の分類)を用いて、対象肢を組織欠損、虚血、足部感染の要素で評価しており、具体的には、

①安静時疼痛があり、WIfI grade 3の虚血を認める下肢、

②虚血要素は軽度でも感染により創傷治癒が遅延した糖尿病性足病変、

③2週間以上治癒しない潰瘍のある下肢、

④壊死を認める下肢、

の4つの病態を包括して示す用語となる。

 

ただし、CLTIは下肢動脈疾患(LEAD, lower extremity artery disease)による虚血要素が少なからず病状に反映されていることが条件となる点に留意する必要がある。

 

<ESC/ESVS診療ガイドラインより 日本血管外科学会ガイドライン委員会翻訳、AAA(一般社団法人Act Against Amputation)FB page(2020.1.24)より抜粋>

 

レオカーナについては、透析医師ではないため、当院では施工することは出来ませんが、足病診療の新たな治療選択肢の一つにはなると思われます。

今までのLDLアフェレーシス(悪玉コレステロールを血液浄化にて抜き取る治療)は、LDL-C(悪玉コレステロール)値が高くないと治療適応とならなかった点もありましたが、

LDL-C(悪玉コレステロール)値に関係なく治療適応できる点も大きいと考えられます。

当院は福岡圏内の多くの透析医療機関とも連携していますので、今後は透析医師と連携してこのような新しい治療手段を提案し、さらなる治療の向上に役立てたいと思います。

 

まずは下肢の動脈硬化などによる血流低下が疑われる症例は、血管年齢や下肢動脈の超音波検査(エコー検査)をお勧めいたします。特に下肢動脈の超音波(エコー)検査を実施出来るクリニックは大変少ないので、疑わしい症例は積極的に検査を実施しています。

 

超音波(エコー)検査は、検査に痛みを伴うこともなく、放射線被曝などもない身体には無侵襲な検査であることから是非ともオススメしています。昨年のエコー実施実績ですが、かなり多く実施していると思います。

 

エコー検査は時間を要することもあり、診療予約とは別にご予約を頂いています。月曜日の午前中と金曜日の午後にベテラン(超音波認定技師)の女性検査技師さんが検査を担当しています。

 

当院で可能な検査です。 https://ashitoshinzo.com/tour/

 

足・脚の血流に不安がある患者さんは是非、当院にご相談ください。カテーテルによる血行再建治療(風船・ステント・バイパス治療など)が必要かどうかなどのご相談にも乗ります。

治療の適応がある場合は、連携している前述の医療機関に加えて、福岡大学病院、福岡済生会総合病院、九州医療センター、福岡赤十字病院、浜の町病院、福岡徳洲会病院、福岡大学筑紫病院、九州大学病院、飯塚病院、小倉記念病院など多くの連携実績がありますので、

病状、居住地などを考慮してご紹介することも可能です。

 

#病診連携 #糖尿病合併症 #糖尿病足病変 #足と心臓血管クリニック #足病変ハイリスク #下肢血流障害 #閉塞性動脈硬化症 #包括的高度慢性下肢虚血 #足のトラブル #福岡山王病院