「Covid-19感染症発症後の下肢静脈血栓症の一例」 〜第2回日本フットケア・足病医学会学術集会での発表報告〜
福岡県内の新型コロナ検査陽性者数も少しずつ減ってきており、福岡県でも一桁にまでになり喜ばしいことです。ワクチンの効果だけでなく、国民一人一人の感染対策も功を奏しているものと考えます。また、全国的にも同様に減少しています。
引き続き、各自が「感染対策」に注意を払う必要があります。福岡県内は毎日の気温差も激しく、上着の着脱などで体温調節をしっかりして体調管理に努めていただきたいと思います。過去にも多く、新型コロナ感染症関連のブログ記事を発信してきましたし、いくつもの合併症を経験し、ここに応じて対応してきました。
今回、2021.12月10・11日に横浜にて開催された第2回日本フットケア・足病医学会学術集会でこれらの症例を発表してきました。過去のブログも含めてまとめたいと思います。
学会後は、青島太平洋マラソンに出走のため宮崎に行ってきましたが、その報告は別にブログにしたいと思います。
<学会抄録>
背景:当院は足に様々なトラブルを抱える患者が受診している。最近ではCovid-19発症後に関連した下肢静脈血栓症(VTE)の受診も多い。今後も増えると思われる発症中・発症後の致命傷や後遺症になりうるVTEの治療を経験したので若干の文献的考察を含めてこれを報告する。
症例: 40歳代、発熱でCovid-19を疑われPCR陽性、ホテル療養後に呼吸器症状増悪、入院加療。加療中から右踵部痛、左下腿後面の疼痛が出現。一般的治療で症状が改善したことから退院。下肢は未治療。退院後も下肢の症状が続くため当院を受診。
経過:診察にてVTEを疑い、圧迫療法、消炎鎮痛治療を開始、D-dimer 35.9mg/dl、超音波検査にて左下腿領域の静脈血栓像を認め、抗凝固療法を開始。治療開始2週間ほどで自覚症状は軽減、就労可能になった。
考察: Covid-19治療のための療養施設、入院病床は地区によっては逼迫している。全身状態改善のための治療が優先されるのは当然のことであり、落ち着けば退院し管理外となる。しかしながら、退院後も本症例のようにVTEが強く疑われていたにも関わらず未治療の患者がいる。当院では他にも同様の症例を数例治療している。感染者が増えれば治療後の患者も増える。関連後遺症は下肢だけでは無いが、放置されることなく医療連携できる受け皿の整備も必要だと考える。
当院は診療所(クリニック)にしては、かなり多くの超音波検査を積極的に実施できていると思います。昨年の実施件数をスライドに示します。
深部静脈血栓症を始め、循環器疾患、下肢動脈、腹部大動脈疾患などは超音波検査による診断が大変有用です。ぜひ、ご心配の患者さんはご相談ください。
超音波(エコー)検査の予約は混み合っていますが、毎週月曜日の午前中と第1、3週金曜日の午後に予約制にて実施しています。
新型コロナ感染症関連の深部静脈血栓症の予防に関する診療指針なども記載しておきたいと思います。医療関係者の方々も是非、参考にされてください。
当院は「足と心臓血管」の専門クリニックであり、高血圧、糖尿病、脂質異常症などを代表とする生活習慣病、心臓弁膜症、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、足の動脈硬化である閉塞性動脈硬化症(最近は末梢動脈疾患とも言います)、
下肢静脈瘤、巻き爪・陥入爪などの爪疾患、外反母趾・扁平足・甲高(開帳足)・リウマチの足趾変形・変形性膝関節症などの足・脚の変形性疾患、糖尿病性潰瘍・糖尿病性壊疽・蜂窩織炎(蜂巣炎)などの足の感染性疾患、冷え性・しもやけ、などの患者さんを多く診ています。
テレビや新聞では、相変わらず新型コロナ感染症の話題も多い中、自粛が長くなってきたことから、直接の「新型コロナ感染症」以外の問題が生じてきていることについては、過去のブログ記事などにも述べています。
「コロナ後廃用症候群」(下肢筋力低下を始め、認知症・老年性うつの出現、子供の異常行動、障害者の精神的不安定化など)、生活習慣病の増悪などの「健康二次被害」がとても心配な事です。この辺は過去のブログでも記載していますので、過去ブログをご参照ください。
こんな時こそウォーキングで体力・免疫力を維持して欲しい。コロナ騒ぎで高齢者は寝たきりに?? 「正しく恐れて、本末転倒にならないようなコロナ対策:福岡市在住の高齢者対象」(2020.3.18クリニックのブログ)
https://ashitoshinzo.com/2020-3-18-1/
新型コロナウイルス騒動以外での怖いこと(2020.4.18クリニックのブログ)
https://ashitoshinzo.com/2020-4-19-1/
今回は、新型コロナ感染症の後遺症を自身の症例などから考察したいと思います。感染症や新型コロナの専門家ではありませんので、難しいお話などまではお話しできませんのでご了承ください。
新型コロナ感染症の特徴として、「内皮細胞障害による易血栓性」、「血栓性炎症」が挙げられています。一般の読者の方には難しいかと思います。要するに「感染したことによって体内のあらゆる血管が詰まり易くなる」と言うことです。
これは過去のブログでも述べましたし、ネット情報や医学記事などからも検索して頂けば、勉強できることが多く出ています。
「新型コロナ関連報告」〜足のしもやけ様の症状についての考察〜
https://ashitoshinzo.com/2020-5-3-1/
新型コロナ感染症の治療のために入院していた時に足が痛くなったが診てもらえなかった発症リスクのない若い患者さん、血栓症になって新たに血栓を溶かす内服薬が開始になったので、当院で継続して欲しいという患者さん、味覚障害が残ってしまい、水もお茶もまずくて飲むのが辛い70歳台の患者さん・・・など何とか人工呼吸器などを装着することなく退院しても後遺症に困っている患者さんもおられます。
当院は「発熱外来」などは実施していません。しかしながら、「足と心臓血管の専門クリニック」として「足や心臓血管に関連した血栓症」の診断、治療は得意としています。
テレビ報道でもありますように、新型コロナ感染症に罹患したからといって、何から何まで人間ドックのように診てもらえる訳ではありません。
新型コロナ感染症治療中や治療後に足の痛みやむくみ、腫脹が続く場合は、静脈や動脈に血栓が詰まったことが原因の可能性もあります。
糖尿病、高血圧、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い方)、喫煙者、不整脈、高齢者、そして肥満患者さん、運動習慣の無い患者さん、ピルを服用している患者さん、などは「血栓症」のリスクが高いと言われています。
これらの血栓症の診断には、超音波(エコー)検査が有用です。超音波(エコー)検査は放射線被曝もなく体には無侵襲で、血管の状態評価にとても有用なのです。
写真は静脈内に詰まった血栓像の写真です。
さらには、血液検査で炎症反応(白血球や炎症性タンパクCRP)などの測定に加えて、「D-ダイマー」と言う血栓ができると上昇しやすいと言われているマーカーを測定して、総合的に判断します。
状態によっては血栓を溶かす抗凝固薬や血小板の働きを弱め、血栓を出来にくくさせる抗血小板剤の服用が必要になることもありますし、入院治療が必要になることもあります。
後遺症に患者さんやご家族、ご友人が苦しむことがないように、当院に出来る事はお引き受けして検査、診察、治療を行なっています。ご心配な方は当院にご相談ください。
当院は「予約優先診療」を行っています。また、大病院ではなく小さいクリニックですので、待合室も小さい限られたスペースしかありません。
よって、熱発している患者さん、感冒様症状がある患者さんなどの「予約外」、「飛び込み受診」には対応し兼ねますので、ご了承願います。くれぐれも「お問い合わせ(診療時間内に限る)」の上、「ご予約」いただいての受診をお願いいたします。
できる診療をできるクリニックができる限り対応することで「安心できる暮らしを取り戻せる」ようにスタッフと共に頑張っています。
最近は自身のfecebookなどでも良く「手洗い・換気・体調管理・思いやり は欠かさずに」と言っています。
「手洗い・換気・体調管理・思いやり は欠かさずに」毎日を過ごして、この国難を乗り切りましょう。「思いやり」これが欠けやすい世の中だと思う今日この頃です。
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