「足ゼミ版 巻き爪祭り〜矯正編〜」 にて講演を行いました
竹内一馬が顧問を務める日本トータルフットマネジメント協会(JTFA)では、
オンライン講座の「足ゼミオンライン https://www.japanfoot.or.jp/event/2021.html」を開催しており、
今回は、フットケアでご高名な、泣く子も黙る(笑)高山かおる先生(埼玉県済生会川口総合病院 皮膚科 主任部長)とご一緒いたしました。
足病変ハイリスク患者さん(糖尿病、下肢の血流が低下した(閉塞性動脈硬化症)方、透析、膠原病、栄養状態不良、喫煙、高齢者など)においての施行は、
侵襲的な治療法の選択によっては、手術した創が治らず、壊疽への進展する危険性が高く、注意が必要です。
足病変ハイリスク患者さんの場合は、侵襲的な(組織を傷つける)
治療すなわち手術をしてしまうと、手術によってできた創が治らないだけでなく、
侵襲を加えたことでさらに創が悪化して壊疽に進展してしまうことがあります。決して全例がそうなる訳ではありません。
あくまで結果論ではありますが、分かっているのであれば、なるべくそういった結果は避けたいものです。
手術を受ける際には担当の先生はそういった最悪のお話は必ずされるとは思いますが、起こってしまってからでは遅いのです。
そういった患者さんには、即効性は期待できなくても、低侵襲な治療が安心かつ安全だと考えています。
ワイヤーによる巻き爪矯正治療法は国内では保険適応はありませんが、そのような場合にも効果を発揮します。炎症性肉芽を伴うような陥入爪の治療にはしばしば難渋させられます。
筆者の基本的治療方針を提示します。炎症性肉芽を形成している症例については、爪棘が存在していることも多く、洗浄指導後にまずはコットンパッキングから開始するのが通常です。
次に炎症性肉芽の大きさにもよりますが、硝酸銀を塗布しながら爪棘や爪縁のアセスメントを行います。
難治化している症例では部分抜爪術を併用しておこなう事もありますが、あくまで最終手段であって欲しいと願っています。
当院では、陥入爪に対して(巻き爪の併発症例は別)、ファーストチョイス(第一選択)で3TO法(ワイヤーによる爪矯正治療)を施行することはほとんどありません。
まずは炎症性肉芽を落ち着かせてから、機械的刺激の原因となっている爪甲を一部切除して、そののちに深爪になった状態に対して巻き爪を発症するのを防ぐために実施していることが多いです。
今回はオンライン講座の時間枠が許す限り、多くの自経例を供覧しました。足病変ハイリスク(糖尿病、透析、下肢血流障害、高齢者、関節リウマチなどの膠原病、その他)
以外のno riskの若年者の症例も多く経験しており、当院で実施している3TO法は、筆者は指導者の教育も行なっています。
昨年2020年1年間の実績は、初回治療295趾、延べ1000趾(ちょうど1000趾、2019年が795趾でした)を治療しています。
全国データを調べたことはありませんが、メーカーさんからお聞きしたところ、治療件数としても全国トップクラスの実績とのことでした(データベース登録などがないので全ては把握で来ていませんが)。
他の手術でも同様ですが、年間数例しか実施されていない施設での治療よりは、治療経験が多い施設での治療の方が「安心・安全」ではないでしょうか?
政府が「安心・安全」のオリンピックを連呼していましたが(笑)・・・「安心・安全」の選択は患者さんが選ぶ時代だとも思います。
高山先生は「巻き爪マイスター法」のご発表でした。3TO法でも同様ですが、治療法には一長一短があります。
そのようなことがご不安な方のセカンドオピニオンも受け付けていますので、お困りの患者さんはぜひ、ご相談くださいね。
オリンピック終わってしまいましたねー。閉会式中のセミナーにも関わらず、多くの方にご聴講いただき感謝です。
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